亀の池(かめのいけ)
左右に池があり、亀や鯉が群泳しています。右手の池には亀の形をした岩があり、その上で亀が日向ぼっこしています。よく見ると亀の甲羅に年号や名前が入った個体も居ます。イタズラでしょうか?違います。
公園の池に居るのもそうですが、成田山にいる生き物は全て放生(ほうしょう・捕えた生き物を放つこと)されたものです。池の亀たちも誰かの善行でここに放たれた生き物なんですね。
この行いはインドのガンジス川流域や、中国のお寺なんかでも見ることができます。「インド人もビックリするぐらい魚買ってよ」とか「魚買うアルヨロシ」など現地には放生を促す商売人もいます。日本はどうかというと、江戸時代ぐらいまでは、ここ成田でも参道沿いの店頭に子亀が糸で縛られて売られていたそうです。糸にぶら下がる亀を想像してみると、ちょっと可愛いですね。成田では昔から生き物を捕まえると「かわいそうだから成田山で離してきな」なんて親に言われて育った人も多いです。最近は夜店の屋台ですくった金魚なんかが池に放たれているようですね。そう考えると「金魚すくい」って「金魚救い」なんでしょうか。
ちなみに雨季になると亀たちは産卵のため、池を出て近くの川などの水場まで移動します。これは一箇所で繁殖しすぎないようにDNAに刻まれているんです。多分。なので池から出てきた亀を見つけても「かわいそう」などと思い池に返してはいけません。産卵以外で亀が泣きます。
と、脱線気味な話ばかりですみません。詰まる所、ここは仏教で言うところの命を尊重するという不殺生を教えてくれる場所なんです。